本学歯科技工士学校は平成23年4月から歯学部口腔保健学科の中に口腔保健工学専攻として4年生の大学としての教育を開始することとなった。歯科医療技術の飛躍的な発展に伴う高度化とともに、歯科材料は歯科生体材料だけでなく、最近では生物材料も加わってきている。歯科技工士教育が技術者養成から大学教育へと変わるためには、こうした新技術や生物材料への対応ができる人材養成が必要である。これらに精通することは、新技法の開発にもつながるものであり、これまでに築きあげてきた「日本の歯科技工」の特徴をさらに強化、発展させることになる。
歯科技工士である以上、技術教育も非常に重要で、このことは入学試験における実技試験や、我が国最大の患者数を誇る歯学部附属病院における臨床実習に、かなりの比重を置いていることでも、本専攻の特徴が表れている。
輩出する人材としては、歯科技工学における専門的教育者、研究者および歯科医療工学技術者である。当然チーム医療の一員として、また国際社会の中での期待も高いことから、高度な専門知識と技術だけでなく、国際性、幅広い教養も身につけた人材養成を目指している。
教養課程は全学的に1年間に短縮されており、本専攻のカリキュラムもこれに則ったもので2年時から専門教育を本格的に開始する。歯科技工士養成の指定規則では2200時間となっているが、本学技工士学校では2490時間のカリキュラムであった。本専攻では3060時間と、さらに十分な時間をかけて教育がおこなわれる。
開設された分野は、
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口腔基礎科学:ものつくりの技術開発に必要な基礎医学 |
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口腔保健工学統合学:造形学、デザイン学、健康福祉、コミュニケーション学 |
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口腔臨床科学:歯科技工技術者の視点にたった新材料の開発評価 |
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情報歯科医療工学:画像解析技術、形態診断技術、およびデジタルベースによる補綴装置の製作技術の開発評価 |
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生体材料加工学分野:ものつくりの技術を科学的な基盤を元に進展させ、医療機器の開発と加工に生かすための技術の開発評価 |
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歯冠修復技工学:歯冠修復物製作者の視点にたった技術の開発研究 |
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口腔機能再建技工学:義歯およびオーラルアプライアンスの製作と加工技術の開発研究 |
である。
こうした環境の中で、歯科技工学の新しい学問体系を確立し、地域の歯科医療現場のみならず、医療研究機関、医療機器産業界においても国際的なレベルで貢献できる、新素材・新技術の開発研究能力のある技術者としての適性をもった専門的医療技術者を養成する。これにより本学のモットーである「知と癒しの匠を創造する」を推進する。
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