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○ 日 時:平成28年3月19日(土曜日)15:00〜16:30
○ 会 場:東京医科歯科大学 M&D タワー2階 共用講義室1
○ 講 師:杉本 久美子
○ 講 師:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯理工学専攻 口腔基礎工学 教授
※ 会員以外の方でも参加できます。事前申込み・参加費とも不要です。
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講 演 抄 録
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超高齢社会を迎えた今日、全身の健康と生活の質に口腔の健康がいかに重要であるかが認識されるようになり、8020達成者は平成23年で38.3%と歯科保健の状況は大きく改善しつつある。しかし、その一方で、加齢や疾患に伴う口腔機能の問題を抱える人も多くなっている。とりわけ、様々な要因で発生する摂食・嚥下機能障害は誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があり、今日の死亡要因の第3位となっている肺炎の多くは誤嚥性肺炎によるものとされている。そこで、本講演では、摂食・嚥下機能が営まれるしくみとその障害を起こす要因について概説し、さらに摂食嚥下障害のスクリーニング方法および改善のための対応と補綴装置について紹介する。
また、高齢者の生活の質を低下させるもう一つの大きな問題は、唾液分泌低下による口腔乾燥である。唾液は清浄・抗菌作用、緩衝作用、円滑・保護作用など、口腔の健康を守るための多様かつ重要な働きを担っている。したがって、唾液の減少はう蝕、粘膜炎症や口臭等のリスクを高めるだけでなく、咀嚼、発音や味覚などの口腔機能にも問題を生じる。そこで、唾液の生成と分泌のメカニズムについてふれたうえで、補綴装置装着が唾液分泌に及ぼす影響についての知見ならびに唾液分泌を促すための試みについて紹介する。
これら2つのトピックを取り上げるなかで、口腔機能における補綴装置の役割について考察したいと考えている。
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