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◇ 技友会主催学術講演会
“この人を帰るべきところへ 〜法歯学の現場〜”

 
○ 日 時:平成30年3月17日(土曜日)15:00〜16:30

○ 会 場:東京医科歯科大学 歯科棟南4階 歯学部特別講堂

○ 講 師:櫻田 宏一
○ 講 師:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 環境社会医歯学講座 法歯学分野 教授

    ※ 会員以外の方でも参加できます。事前申込み・参加費とも不要です。



講  演  抄  録

 犯罪や大災害における犠牲者の身元確認は、その方の人間としての最後の尊厳を護るだけでなく、残されたご家族の生活修復のためにはきわめて重要な作業となる。その多くは、顔貌や所持品等により身元を明らかにするが、それが困難な第二段階では、国内外ともに、指紋、歯科所見および DNA 型が効果的に用いられている。特に、焼死体や白骨死体など、高度死後変化をともなったご遺体である場合には、最も簡便とされる指紋は採取できず、また識別力の高い DNA 型検査であっても、対照となる人物がいなければ単なる数字の羅列であり、有効とならない。一方、死後変化に強い歯科所見は、作成されたデンタルチャート、口腔内写真およびデンタルX線写真から、その対照者を浮上させてくることもできる。このような捜査にもかかわらず、身元が明らかにならないケースも多い。
 本講演前半では、法歯学の主たる業務として、最も社会から求められている歯科所見を用いた身元確認作業の実際についてご紹介する。特にテクニシャンの先生方による義歯刻印法は効果的とされている。また、白骨死体である場合に、歯や骨からの年齢、性別や身長推定なども重要な個人情報であることから、DNA 型検査法と合わせてその手法を簡単にご紹介する。
 後半では、被害者の出身地域(国籍)推定が、初動捜査上きわめて重要となる場合もあり、その一手法として、生体に寄生する JC ウイルスのゲノム型を用いた方法をご紹介する。大多数のヒトが持つこのウイルスは、幼少時に接触の多かったヒトから水平感染し、生涯腎臓に潜伏しながら、年齢とともに尿に排泄されてくる。このゲノム型は、地理的分布と密接に関連し、生涯変化せず、重複感染もしないことから、幼少時の育った地域を反映すると考えられている。この特殊な推定法について、人類の起源・移動と関連させながらご紹介する。

講師
櫻田宏一(サクラダ・コウイチ)先生ご略歴
【学  歴】
平成2年3月 長崎大学歯学部 卒業
平成9年4月 東京大学大学院医学系研究科医学博士課程 進学
平成13年3月 同課程 修了
【職  歴】
平成2年4月〜9年3月 酒井歯科医院(東京都中野区)
平成13年4月〜9月 東京大学法医学教室 助手
平成13年10月〜14年3月 警察庁科学警察研究所
法医第一研究室 主任研究官
平成14年4月〜15年3月 同所 生物第三研究室 主任研究官
平成15年4月〜26年3月 同所 生物第三研究室 室長
平成26年4月〜27年1月 同所 法科学第一部 部付主任研究官(室長兼務)
平成27年3月〜現在 東京医科歯科大学 法歯学分野 教授
(東京医科歯科大学技友会 学術部)
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