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◇ 東京医科歯科大学歯科技工士教育50周年記念行事 |
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序 |
歯 科 技 工 士 学 校 長 田 端 恒 雄 |
昨年、本学創立五十周年を記念して発行された記念誌に技工士学校の項を書く必要上、技工士学校の歴史を調べる機会がありました。その際技工士学校の前身と考えられる技工士の養成が、大正8年、文部省歯科病院に設けられており、これを加えると技工士学校は60年の歴史を有することになり、教育課程としては大学よりも古いという事実を知りました。
このように長い本校の歴史を振り返って見ると、歯科の本質が技術であり、この進歩なくしては、歯科診療の向上もあり得ないことを見通し、時代に先駆けて技工士の育成を創められた先人の達見とその後、養成課程の充実とさらに技工士学校の創設に尽くされた先輩の方々の並々ならぬ努力に心からの敬意と感謝を覚えざるを得ません。
山高きが故に尊からず、樹あるを以て尊しとなすという有名な言葉があります。これを借りれば、古きが故に尊からず、人材を輩出した故をもって尊しとなすといえるのではないかと思います。その点、本校ほどすぐれた人材を社会に多数送った学校はありません。もともと本校は指導的技工士の養成を重要な教育目的としてきました。本校同窓生の進路を見ますと、教育機関に勤務している人の比率が高いことがわかります。実習科出身者の実に25.6%が教員として後進の指導に当たっております。これは他に例のないことといってよく、本校教育の成果であると思います。いうまでもなくこの成果はすべて先人の尽力に帰せられるものであって、まさに本校の誇りうる伝統といって差し支えないでしょう。
ご承知のように現在、専修学校である技工士養成課程を大学にまで高めたいとする強い要望が日技から出されています。本校の附属学校4校でも、数年来、医療技術短大への昇格が検討、計画されています。実現には種々の困難が予想されますが、技工士教育が重要な転機に立っているとの認識から、是非とも実現したいと考えています。
伝統の継承とは、単にこれを墨守することではなく、不断の進歩を加えてゆくことでしょう。私達の責務は先人が築かれた本校の伝統を尊重し、さらに発展をはかることにあり、そのために一層の努力が求められていることを深く考え序にかえます。
歯科技工士教育50周年記念誌より
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